最近、カブトムシの幼虫を飼い始めました。
カブトムシを育てるのは15年ぶりくらい。
生き物自体を飼うのも久しぶりです。(植物も広義だと生き物になっちゃいますね。狭義の「生き物」です)
高校生の時にサワガニを飼って以来です。
肝心の幼虫ですが、無料でした。
盗ってきたとかではないです。
ホームセンターの片隅に「ご自由にどうぞ」という貼り紙とともに置かれていました。
正直、私はカブトムシの幼虫がどこかに転がっていないか秘かに狙っていました。なぜなら、カブトムシの幼虫のフンは園芸に役立つからです。
昔、カブトムシの幼虫を飼っていた時に、フンを庭に撒くと植物がすくすくと育つようになった(気がする)からです。
幼虫は腐葉土を食べて育ちます。
当然、フンも腐葉土が分解されたものであり、腐葉土以上に細かくなり熟しているとも考えられます。
園芸では土をフカフカにする堆肥として腐葉土を使うことがありますが、幼虫のフンは腐葉土以上に上質な堆肥かもしれません。
土がフッカフカになります。
幼虫を育てるといっても、なるべく深い容器にマット(腐葉土)を入れ、幼虫を潜り込ませてほったらかしにするだけです。後は幼虫が勝手に食べてフンをします。しかし、長く飼っていると、マットにフンが混じり、幼虫の食べられる分が減ってくるので数回マットを換える必要があります。(たぶん、一回か二回でも問題ないと思いますが、うちは過保護に何回も換えていました。)
そして、フンが混じったマットを庭に捨て、新しいマットを入れてあげます。
さて、今回の幼虫の話に戻ります。
「ご自由にどうぞ」の貼り紙を見つけた私はしめしめと思いました。幼虫は三匹残っていました。一匹ずつ透明なおかずカップに入れられ、5センチほど土がかけてあります。
どうせ飼うなら何匹いても一緒なので、三匹ともカゴに入れました。
まずは在庫確保。
それから一緒に来ていた母に許可をもらおうと、母を呼びました。
ところが母があまり乗り気でなく「ちゃんと世話できるの?」と言ってきたので、私は「私が一人で全部世話するもん!」と主張しました。
大学院生にもなってこの台詞を言うとは。しかし、私には前科、いや、未遂があります。
小さい頃、私は犬が好きでした。特に柴犬が好きで、飼いたくてたまりませんでした。
「犬飼って!全部自分で世話するから!」と親にしきりにおねだりしましたが、両親は真に受けませんでした。当然のことでしょう。子どもの「全部自分でやるもん!」なぞ、「怒らないから言ってごらん」や「マラソン大会一緒に走ろう!」と同じくらい当てにならないと言われています。知らんけど。
それから十数年、今となっては犬を飼わなくて良かったと思っています。
よほどのことがない限り、子どもが一人で世話を出来るわけありません。もちろん大人でも世話できてない人間が山ほどいます。
毎日の散歩、病気になった時の対処など、軽い気持ちでは出来ないことです。
私にはその覚悟がありませんでした。
幸い、よそのお家のワンちゃんに声を掛けたり、触らせてもらったりして犬成分を補給するという術を確立しました。
今も犬は好きですし、柴犬が好きなのも変わりません。
これまた幸い、私のご近所の柴ちゃんたちが仲良くしてくれています。
私の姿を見ると、こっちに寄って来てくれるんですよ!!
犬は本当に良く人間の感情を読みますし、好意を持っている人間が分かるようです!
あと、やっぱり、柴犬は可愛い。
話が逸れました。話をカブトムシに戻します。
そもそも、幼虫のお世話なんてマットを換える以外ないですし、動物病院に連れていくこともありません。
もう私もいい年なので、言ったからには全部お世話します。
母を説得すべく、私もつらつら陳情します。うちには昔使っていた虫かごが残っているはずです。それを使えばいい。ただ、ひとつ問題があります。カブトムシの幼虫を飼うには30センチ近く、最低でも20センチくらいの深さがある容器が必要です。うちにはもともと大きい虫かごが二つありました。ひとつは15センチくらいの深さの虫かご。こちらはサワガニやザリガニの飼育に使っていました。
もうひとつは、深さ30センチくらいの虫かご。前者は確実にうちの倉庫に眠っていますが、後者を捨ててしまったような気がします。つまり、深い容器があるかどうか分からない。最近見た記憶がない。もし、深い容器がなければ、ペットボトルか鉢で代用しようか。あと、腐葉土はどれくらいいるかな?最低でも10Lはいるよね。そんな話を母としていた矢先、事件が起こりました。
なんと、カップが陳列されていた段ボールと、それに貼られた「ご自由にどうぞ」の紙を店員さんが片付けてしまいました!
幼虫が全部いなくなっていたのですから、もう貰われたと思うのは無理はありません。
今さら、やっぱり要らないんで…と返しに行くのもマヌケです。
段ボールと貼り紙はもう捨てられているでしょうし、お店も困るでしょう。
かくして、幼虫は半強制的に我が家の一員になりました。
とりあえず在庫確保という行動が勝因となったようです。
母はまだ完全には納得していませんでしたし、私も久しぶりに幼虫を飼うことに少し不安になっていた矢先の事件だったので、笑ってしまいました。
こうなったのも、ご縁があったということでしょう。覚悟を決めて腐葉土を買うことにしました。
昔、カブトムシを飼っていた時は、5Lで600円くらいするプレミアムマットなるものを使っていたのですが、目の前にはクワガタ専用のプレミアムマットしかありません。仕方なく、10Lで700円くらいのマットを飼うことにします。それしか選択肢がない。値段は高いマットの半分くらいしかない。幼虫がちょっとかわいそうです。いや、安くても育つんでしょうけど、生き物を育てるなら、ある程度お金をかけて良いものを彼らに提供すべきだと考えています。特にマットは、値段によって見た目から明確な差が出ます。高いマットは、黒っぽく、ふかふかで完熟しており、枝や葉が残っていません。安いマットは、熟成が進んでおらず、枝や葉が残っています。これでは幼虫はマットを食べにくいし、チクチクしてかわいそうです。幸い、今買おうとしているマットは、昔のマットに比べて悪くなさそうです。贅沢を言うとキリがありませんし、昔よりコスパは格段に良くなっているみたい。10L700円のマットに決めました。
容器については、深い虫かごがなければ、ペットボトルか鉢で代用しようかと思います。
そうと決まれば、幼虫と一緒に帰宅です。散歩がてら、かなり歩いてここまで来ました。帰りも歩かねばなりません。日が落ちてきて、ひんやりした気温になったので、帰り道で幼虫が寒い思いをしないよう、カップの側面を新聞紙で包み、小さな段ボール箱にいれました。これをビニール袋に入れて、手で持ちます。土はリュックサックに入れました。ちょっとおもい…
てくてく歩き、自宅につきました。
早速倉庫を探すと、深い虫かごが見つかりました!
良かった、残してたんだー!!
というわけで、この虫かごを使うことにします。
虫かごを洗って軽く拭き、マットを入れます。全部いっぺんに入れるのではなく、少しずつ入れて、そのつど霧吹きで湿らせ、手で混ぜます。握って少し固まるくらいまで湿らせます。最終的にマットは10L全部使いました。水も500mlペットボトル一本分くらい加えたと思います。マットの袋に書かれた目安に従いつつ、その日の気温などで判断してください。寒いときはあまりビショビショに湿らせなくて大丈夫だと思います。
マットの品質はそこそこという感じです。若干細い枝などが残っており、薄い茶色でしたが、大きな問題は無さそう。
10L全部を容器に入れましたが、高さは20センチくらいにしかなりません。
最低限必要な高さをクリア、といったところです。
さて、マットの準備ができたので幼虫に登場してもらいましょう。
こんな感じで持って帰ってきました↓
やっぱり、このカップだとおかずみたいに見える。
カップにはフンも入っていました。このフンは捨てずにとっておきます。
カップの蓋をあけ、幼虫を取り出します。
幼虫を触るときは必ず手袋をしてください!!
素手で触りすぎると手の熱が伝わって弱ることがあるみたいです。
プリプリしててかわいい~!
でも、小さいカップに入れられていたせいか、この時期の幼虫にしては小さいような気がします。
昔飼っていたときは、秋や冬に幼虫をもらってきて、冬の間に保温しながら高級マットを食べさせていたので、春にはもっと大きくなっていました。
しゃーない、これから頑張って大きくなろうね!
ずっと見て、触っていたいですが、今は体力が弱っていると思うのでガマン。
マットの上にすみやかに置いてあげます。
あれ、動かないな…
しばらく、こんな感じでした↓(幼虫の写真が出ますので、苦手な方は閲覧注意です)
頭の横に、指で穴を掘ってあげると、やっと動き出しました。
私の掘った穴に頭を突っ込み、自分でモリモリ土を掘り、下に潜っていきます。
ほんの2、3分で三匹ともすっかり体が見えなくなりました。
か、かわいー!!
これでお引っ越しは完了。
不織布で虫かご全体を包み、端を輪ゴムで止め、部屋のすみに置きました。
あとは、見守るだけ。
昼間は暖かいですが、夜に少し冷えることもあるので今も室内に置いています。
カブトムシは5月から7月にかけて、幼虫からサナギに変化するそうです。
まだ、サナギになる気配はありません。虫かごを持ち上げて真下から見てみると、三匹とも体が見えていました。どうやら、虫かごの底まで潜り込んでいるようです。そんなに浅かったか。ごめんね。やっぱり、ペットボトルとか鉢で一匹ずつ飼えば良かったかなあ…
そういえば、この三匹の性別はまだ分かりません。
私はオス一匹メス二匹がいいな。
オスどうしは喧嘩するので。
オスメス一匹ずついれば、繁殖もできます。
昔はオスメスをペアにして卵を産ませ、孵化した子をまた飼っていました。
そして、オスメスペアの名前は「たいき」と「るり」でした。私が考えた名前らしいのですが、なんでそんな人間みたいな名前をつけたのか、今考えても思い出せません。
コメント
ユーモラスな文章で、最後まで楽しく読めました!
カブトムシ、無事に育つといいですね!